株式会社NTTドコモ中国支社は、広島テレビ放送株式会社の1~3階の「広島コンベンションホール」(収容人数:最大1,600人)、屋外イベント通り「エキキターレ」を2020年9月から5Gエリア化することを、2020年8月7日に発表した。
特徴的なのは、「エキキターレ」には、AGC株式会社とドコモが共同開発したガラスアンテナ(製品名:WAVEATTOCH)をドコモの5Gエリアとして全国で初めて導入すること。5Gで使用される電波は高周波を使用するため、建物などの障害物に弱く、通常の基地局からでは屋外に届きにくいという等の課題があるため、5Gでの早期実用化が期待されている。また、5G通信を自動車で円滑に行うためにもこの技術は重要だ。
ガラスアンテナ「WAVEATTOCH」とは
「WAVEATTOCH」(ウェーブアトッチ)は既存の窓ガラスの室内側に貼り付けできる透明なガラスアンテナだ。窓ガラスによる電波の減衰や反射の影響を抑制する技術により安定した高速通信を実現する。また、街の景観を損ねることなく、高速通信のネットワーク構築を図るアンテナ増設も必要とされている。
こうした背景を受けて、AGCとドコモは世界に先駆け、2018年11月に既存窓(室内側)の表面にガラスを貼り付けることで屋外をサービスエリア化することができるガラスアンテナを共同開発。2019年10月よりドコモ4G LTE携帯電話向けのサービスエリアの提供を実施しており、2020年6月に5Gに対応したガラスアンテナの開発を完了した。また、周辺部材も透明にすることで、より景観に配慮したものになっている。なお、同製品名は、電波を表す“ウェーブ”と、窓ガラスに後から取り付けることができるAGC製品“アトッチ”から名付けてられている。
■【動画】「ガラス一体型5Gアンテナ」を用いた5G通信実証実験
上記の動画では、5G通信を自動車で円滑に行うためにも、「WAVEATTOCH」の技術が重要なことがわかる。
広島テレビ放送の5Gエリア化
広島テレビでは、本社1~3階の広島コンベンションホール、屋外イベント通り・エキキターレがキャリア5G基地局として一体的に5Gエリア化されることにより、広島駅前の立地と最大1,600人の収容能力を活かした様々なイベントが実現可能となる。同製品の設置により、4K高精細映像を活用したオンライン商談会や大規模なリモート会議、マルチアングルで様々な角度から観戦できるeスポーツイベントなど、5Gに対応した新たなサービス、新しいチャレンジの場の提供を検討している。
▼ 5Gエリア予定場所詳細
広島コンベンションホール | (広島駅新幹線口から徒歩4分) ・1階:広島テレビホール 200平方メートル・エントランスホール 200平方メートル ・2階:メインホール 722平方メートル ・3階:大ホール 710平方メートル |
---|---|
広島テレビ本社 | (※1~3階が広島コンベンションホール) ・エキキターレ ・広島テレビ本社ビルと西側のグラノード広島の間にあるイベント通り:南北100メートル、東西20メートル、約1,020平方メートル |
備考 | 広島コンベンションホールとエキキターレの2019年イベント数:255(集客数 約16万人) |
今後の展開
広島県は「ひろしまサンドボックス」との名称で、AI/IoT、ビッグデータ等の最新のテクノロジーを活用することにより、県内の企業が新たな付加価値の創出や生産効率化に取り組めるよう、技術やノウハウを保有する県内外の企業や人材を呼び込み、様々な産業・地域課題の解決をテーマとして共創で試行錯誤できるオープンな実証実験の場を構築している。同事業における、「ひろしまサンドボックス PITCH TRIAL 5Gチャレンジ」への参画が決定しており、今秋、5Gを活用した広島ドラゴンフライズの選手・コーチによるバスケットボールの遠隔レッスンの実証実験を行う。同実験は、親局のサーバを活用し超低遅延での映像通信を実現するものとなっている。また、9月5日(土)「広テレ!スポンサードゲーム 広島東洋カープVS横浜DeNAベイスターズ(仮)」にて5G回線を使った展開を予定している。